エアロフォンで弦楽器らしく吹く3つのコツ チェロの音色で実演比較
こんにちは、しゅうこです。
エアロフォンでチェロの音を選んで演奏しても、「チェロを弾いている」ようには聴こえず、なぜか「チェロの音がする管楽器」に聴こえてしまう。
ある程度、曲に表現をつけられるようになったのに、なぜ……?
以前の記事では、発表会で「月を見ていた」をチェロ・ビブラートの音色で演奏したときに、まさにこの状態に気づいた話をしました。
その答え合わせができたのが、エアロフォンセミナーでした。サックス&エアロフォンプレイヤーの藤本匡光さんが、「楽器特有の奏法を研究して吹く」ことについて解説してくださり、「G線上のアリア」を例に、弦楽器はほとんど音が繋がるので軽々しくブレスはできない、と教えていただきました。
家に帰ってエアロフォンのソング&ガイドブックの模範演奏を聴き直してみると、自分の吸いたいところではブレスができないことに気づきました。さらに、一音一音に弓を引くような強弱がついていることにも気づきました。
弦楽器には特有の奏法があり、表現力をつけることと、その楽器らしく演奏することは、別物でした。
今回は、「チェロを弾いている」ように聴こえる演奏をしてみたい!というのを目標に、実際に研究して実践してみた結果をご紹介します。
練習した成果を録音しましたので、ぜひ聴いてみてください。
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目次
検証のしかた
選曲
エアロフォンのソング&ガイドブックには、弦楽器(バイオリン、チェロ)の音色で演奏されている曲が3曲収録されています。「G線上のアリア」、「人生のメリーゴーランド」、「情熱大陸」です。
どれも難易度が高く、人生のメリーゴーランドと情熱大陸は、録音を公開するには著作権の問題もあります。
そこで、今回は著作権の切れているサン=サーンスの「白鳥」の、はじめの4小節で実験を行いました。
実際の音は、楽譜より1オクターブ低くなります。
セッティング
エアロフォンのセッティングは、次のとおりに統一しました。変えたのは吹き方だけです。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 音色 | チェロ・ビブラート(P07-04) |
| キー | C調 |
| ブレスカーブ | L3 |
| ブレス調整 | 20 |
| エフェクト | リバーブなどは完全にゼロ(ドライな音色) |
| オーディオインターフェース | YAMAHA URX22C(ステレオ接続) |
| 録音 | Windowsのサウンドレコーダー |
3本の録音を聴き比べ
録音は①→②→③の順に行いました。音声には、演奏前にメトロノームで6拍のカウントを入れています。
①と②を続けて聴いてから、③へ進んでみてください。それぞれの録音波形を比較した画像も載せています。
奏法を研究する前(①②)
①音源を2〜3回聴いて、数回練習したもの
②チェロで演奏している「白鳥」を、音声だけで何度も聴き、30分ほど練習したもの
何度か録音を繰り返し、原曲に近づくよう、その時点で私が持てる表現力を最大限つけました。
波形でも、②は主に後半に強弱をつけたことが分かります。
しかし、やはり「チェロの音がする管楽器」に聴こえます。
奏法を研究した後(③)
弦楽器の奏法や音の特徴を調べて、YouTubeで様々な演奏動画を繰り返し視聴し、最終的にはヨーヨー・マさんの演奏を参考にしました。
音の出し始め、音の終わらせ方、ビブラートのかけ方(タイミングや指の動き)、弓の引き方・返し方など、詳細を研究しました。
③1時間ほど視聴と練習をして、出来上がったものがこちらです。
(①②と比べて若干音量が大きくなってしまいました。)
②とは異なり、少し弦楽器のように聴こえるようになりました。
もちろん、③のほうが練習量が多いという理由はあるものの、次にご紹介するポイントが変化の要因だと実感できました。
\ 弦楽器の音色が素敵! /
弦楽器らしく吹く3つのコツ
研究した項目と、その結果をまとめました。
| 研究した項目 | 結果 |
|---|---|
| 音の出し始め | 必須 |
| 音の終わらせ方 | 必須 |
| 一音の中の強弱(弓の引き方) | 必須 |
| ビブラートのかけ方 | 今回は自分でかける必要はなかった |
| 弓を返すタイミング | 今回の楽譜では工夫する必要がなかった |
| ポルタメント | 今後の課題 |
ここからは、それぞれの項目について、研究した内容と吹いてみた結果をご紹介します。
私はチェロやバイオリンのような、弓で弾く楽器は触ったことがないので、間違ったことを書いているかもしれませんが、ご容赦ください。
音の出し始め
エアロフォンはサックスの先生に習っているので、吹き方はサックスの方法を取り入れています。そのため、通常は、タンギングで音を出し始めます。
一方、弦楽器の音の出し始めは、非常に滑らかです。そこで、タンギングをしないで、限りなく小さな音から出し始めるようにしました。
ただ、この吹き方だとテンポが遅れがちになるのが難しいところです。
音の終わらせ方
管楽器は、息を止めると音も止まります。弦楽器は、弓を動かしている間は音が出ます。
そこで、音が急に終わらないよう、限りなく小さな音になるまで出し続けるようにしました。
その分、ブレスのタイミングが難しく、ブレスできる時間も少なくなるのが悩みどころです。
一音の中の強弱
弦楽器は、強弱を弓の引き方でつけています。
冒頭でも触れたように、ソング&ガイドブックの模範演奏では、一音一音に弓を引くような強弱がついていました。エアロフォンだけでなく、他の管楽器でも、プロの演奏や先生の演奏を聴いて、一音一音に強弱がつけられていることは感じていました。
ただ、私自身はいままで一音一音にまで気を配って強弱をつけることはできていませんでした。
今回はゆっくりのテンポの曲で、しかも何回も演奏を聴き直して、ひとつひとつの音の強弱を再現しようと試みました。特に、伸ばす音符では、音の中の表情が重要だと感じました。
これは、今後のエアロフォン演奏にも非常に生きる経験となりました。
- 音の出し始め
- 音の終わらせ方
- 一音の中の強弱
この3つは、弦楽器らしく演奏するために、まずは必須の項目だと感じました。
しかも、どれか一つでも管楽器の吹き方のままだと、そこで管楽器に戻ってしまいます。3つのうちどれかではなく、3つセットで取り入れることが大切だと思います。
\ チェロの模範演奏と伴奏CD付きの楽譜 /
研究したけれど、今回は必要なかったこと
ビブラートのかけ方
演奏動画を見ると、弦楽器は指の動きでビブラートをかけていて、音が出てから少ししてかけ始めていました。
チェロ・ビブラートの音色には、名前のとおりビブラートが付いています。しかも、最初からではなく、少し息を吹き込むとかかる、という絶妙な仕様になっています。
伸ばす音符で3つ目のコツ「一音の中の強弱」をつける際、きれいなビブラートがかかりました。
さすがエアロフォン!
エアロフォンでは、マウスピースを噛む強弱でビブラートをかけることができますが、この音色に関しては、自分でビブラートをかける必要はありませんでした。
むしろ、自分でマウスピースを噛んでビブラートをかけようとすると変な力が入ってしまい、運指や呼吸に集中できなくなってしまいました。
弓を返すタイミング
弦楽器は、音を繋げることができます。息を使う楽器はどうしてもブレスが必要なので、どこでブレスをするかが大きな問題になります。
今回の楽譜では休符があったので、ブレスの位置を工夫する必要はありませんでした。ただ、藤本さんが例に挙げていた「G線上のアリア」のように、ほとんど音が繋がって聴こえる曲では、弓を置き直したり、返したりするタイミングでブレスをする工夫が必要になると感じました。
今後の課題:ポルタメント
ポルタメントは、音を滑らかに繋げる奏法です。実は、エアロフォンセミナーで藤本さんは、ポルタメントを使って「情熱大陸」を演奏していらっしゃいました。
藤本さんの演奏を聴いて、ポルタメントを入れると、さらに弦楽器らしく聴こえると感じました。
ぜひ取り入れてみたいと思っていますが、これは今後の課題です。
まとめ
表現力を磨いても、なぜか弦楽器のように聴こえないことに悩んでいました。
弦楽器特有の奏法を研究し、それを反映させることで、弦楽器らしさに近づくことができました。
特に大切だと感じたのは、次の3つをセットで取り入れることです。
- 音の出し始め:タンギングをしないで、限りなく小さな音から始める
- 音の終わらせ方:限りなく小さな音まで出す
- 一音の中の強弱:伸ばす音符は特に、音の中で強弱をつける
ビブラートは、この音色に関しては自分でかける必要はありませんでした。長い曲では、弓を置き直したり返したりするタイミングが、ブレス位置の参考になりそうです。
今回は4小節だけでしたが、一曲通して「目をつむって聴くとチェロに聴こえる」を目標に頑張りたいと思います。
エアロフォンならではの楽しみ方をまた一つ発見して、とてもうれしいです。
さっそくチェロの楽譜を買いました。